三角格子ハバード模型における光学伝導度特性
強相関電子系の伝導系においてその結晶構造に幾何学的フラストレーションを含んでいる場合の「フラストレーション」の効果というのは
あまり研究が進んでいません。そこで、その伝導系が強い電子間のクーロン斥力Uのために絶縁体になる直前および直後(モット転移近傍)における光学伝導度を調べました。用いた模型は
幾何学的フラストレーションをミニマルに含んだ三角格子ハバード模型です。この模型をクラスター動的平均場理論を用いて解析しました。
光学伝導度のエネルギー依存性はクーロン斥力の変化とともに大きくその低エネルギー部分に変化を見せます(右上図)。
金属領域(赤線、小さいU)ではいわゆるドルーデピークが振動数0に見られますが、Uの増加と共にそれは消失します。また、インコヒーレントな高エネルギーのピークは
Uの程度の振動数に位置しています。絶縁体側(青線)のモット転移近傍では低エネルギーにエネルギーにピークを持つことが見て取れます。モット転移の臨界終点近傍においてこの低エネル
ギー部分の積分値に関する解析を行うと、その値はドルーデの重みと連続的に繋がることがわかりました(右下図)。このことからこれらの量が光学伝導度における「秩序変数」のような役割
を果たしていることが期待できます。しかしながら臨界指数は通常期待されるものとは異なっており、その起源について今後さらなる研究の発展が望まれます。
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