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非調和振動子による超伝導と同型転移:KOs2O6

ベータパイロクロア化合物AOs2O6(A=K,Rb,Cs)は3-10K程度の超伝導転移温度Tcを持ち、 A原子の非調和振動から生じる種々の興味深い現象が報告され注目を集めている物質群である。 アルカリ原子Aの質量が最も軽いA=Kの場合に最も超伝導転移温度が高く、振動のエネルギーが 低いことがわかっている。またA=Kの場合のみ、超伝導転移以下Tp=7.5Kにおいて構造相転移を 示す。現在のところこの構造相転移は対称性を破らないものと考えられており、その性質および 超伝導転移について本研究で解析を行った。

A原子の感じるポテンシャルV(r)を示したのが上図である。特徴的な点はA原子サイトには 反転対称性が存在せず、bxyzという型の項が存在する事である。このためにbの値によって [111]方向にポテンシャルが小さくなる場合がある。この様な特徴を反映させた有効模型 として、我々は5状態模型を用いてKOs2O6についての一次転移を解析した。5つの状態は K原子が(000)にいる状態と4つの(111)にいる状態を表す。(000)状態の占有数をn0とす ると中図のような相図が得られる。ここでepsilonは〜振動子のエネルギーである。 図中の"SBOP"は"Symmetry Broken Ordered Phase"であり、上記の一次転移とは関係 ないものである。図の右側にある一次転移が我々が提案する同型一次転移の転移温度であり、 そこでは対称性を破る事なくn0の値がジャンプする。

  超伝導転移温度については上記V(r)の3次元シュレーディンガー方程式の数値解から、強結合 超伝導理論を適用し、超伝導転移温度Tcを求めた(下図)。bの大きさに依存してTcが顕著に増減 することが見て取れる。A=K,Rb,Csの3物質について、実験で観測されている振動エネルギーと 中性子散乱から求められた原子の振動の振幅を定量的に再現するV(r)を用いて、超伝導転移温度の 再現に成功している。

 

 

 

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